高収入だからこそ陥りやすい「お金の落とし穴」
医師は一般的に高収入で、金融機関からも「優良な顧客」として見られる職業です。しかし、収入が高いからといって必ずしも資産形成が成功するとは限りません。むしろ、忙しい診療の合間に十分な検討時間を取れないことや、「医師だから大丈夫」という周囲からの過信によって、思わぬ失敗につながるケースがあります。
今回は、ファイナンシャルプランナーとして相談を受ける中で見られる、医師に多い資産運用の失敗事例を3つ紹介します。
失敗事例①:金融機関のすすめる商品をそのまま購入してしまう
医師は銀行や証券会社、保険会社から多くの提案を受けます。「先生ならこの商品がおすすめです」「節税になります」「将来のために安心です」と言われると、専門家からの提案として安心してしまうケースがあります。
しかし、金融商品には販売側の手数料が含まれている場合があり、必ずしも医師自身の利益を最大化する商品とは限りません。
例えば、高額な手数料がかかる投資信託、保障内容が過剰な生命保険、複雑な仕組みの金融商品などは、長期間保有すると資産形成の効率を下げる可能性があります。
重要なのは、「誰がすすめているか」ではなく、「自分のライフプランに本当に必要か」を判断することです。
失敗事例②:不動産投資で節税だけを目的にしてしまう
医師から相談が多いテーマの一つが不動産投資です。
「減価償却によって所得税を節税できます」「医師なら融資が通ります」といった営業を受ける機会も多いでしょう。
しかし、不動産投資の本質は節税ではなく、長期的に収益を生む資産かどうかです。
節税効果だけに注目して購入した結果、空室リスク、修繕費、管理費、金利上昇などによって、想定よりキャッシュフローが悪化するケースがあります。
特に医師は融資を受けやすいため、大きな借入ができてしまいます。しかし、「借りられる金額」と「無理なく返済できる金額」は別物です。
失敗事例③:投資判断を先送りし、現金を持ち続ける
意外に多い失敗が、「投資をしない」という選択です。
医師は仕事が多忙で、資産運用について考える時間が取れず、給与口座に多額の預金を置いたままというケースがあります。
もちろん、生活防衛資金として現金を確保することは重要です。しかし、近年はインフレによって現金の価値が実質的に低下しています。
例えば、物価が毎年2%上昇すると、10年後には現在の100万円の購買力は約82万円相当になります。
長期的な資産形成では、預金・投資・保険などをバランスよく組み合わせ、自分に合った運用方針を作ることが重要です。
医師に必要なのは「高収入を守り、育てる仕組み」
医師は高い収入を得られる一方で、忙しい日々の中でお金の管理を後回しにしがちです。その結果、「もっと早く知っていれば防げた」という資産運用の失敗につながることがあります。
資産形成で大切なのは、短期間で大きな利益を狙うことではありません。
自分の家族構成、住宅購入、開業予定、老後資金などを踏まえたうえで、長期的な視点で計画を立てることです。
医師だからこそ、収入を増やす努力だけでなく、その資産を守り、育てる仕組みづくりが重要になります。


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